2017年05月25日

衛のんに身を

「病が重くなってからは、さすがにお断りするつもりでいたのですが、通ってくるお客さまは切れず……。仕方なく気分の良い日をお選びいただいて、何度か……お肌をお合わせ願いました。回数はそ避孕 藥れほど多くはございませんし、お医者さまにもご相談しております。むしろ近頃は、ご自分から……」
「お前が、そう仕向けたのだろう……?……一衛は……無垢だぞ……。」
「確かに、穢れのないお方でございました。一衛さまは稀にみる……どなたさまも間違いなく極楽往生されるほどの、上品(※じょうぼんじょうしょうの事)の名器でございます。楼閣を営んでいる日向の目に狂いはございませんでした。」

日向の話を聞き、何も知らない自分があまりに間抜けで、直正は呆然としている。
日向は話に虚偽を混ぜながら、都合のいいように告げた。

「……一衛。すまぬ。」

直正は手をついた。

「いいえ、直さま……動乱の中で、ここまで良く生きてきたねと、お医者さまがおっしゃいました。考えてみれば、一衛はいつも熱を出す弱い子供でした。母上にも、一衛の命は直さま避孕丸が神仏にお願いして下すったものですよと、何度も言われましたし、直さまのおかげで生き延びてきたようなものです。」
「藪医者の見立て違いではないのか?」
「話を聞くと、腑に落ちることばかりでした。」

直正は手を伸ばし一衛の冷たい頬に触れた。

「お前の守った矜持とは何だ?こんな目に遭わせるために、会津から手を引いて来たのではない。なぜ、そんな風に落ち着いていられる……?」
「直さま……」

驚いたように一衛が直正を見つめる。
直正は早くまともな職を得て、一衛と共に住む家を借りようと思っていた。
気持ちは急いてたが、職探しはままならない。
嬌声の聞こえる女郎屋の奥ではゆっくり養生も出来ないだろうと、心から一案じていた。それほど思いながら、一衛の地獄を想像することもなかった。
全て手遅れだった。

胸にもたれた一衛の髪が肩で揃えられているのに、やっと避孕丸気が付いて、直正は先ほどまでの日向に対する憤りを忘れて、つい含み笑いを浮かべて撫でてしまった。

「島原屋にいる禿のようだ。」
「……やっぱり、ざん切り頭は似合いませんか……いやだなぁ。日向さお上のお役人を相手にするのだから御定法は守ってくれといわれて、仕方なく短く切ったのですけれど。」

断髪脱刀令が出て、男は皆髪を短く切った。
一衛は恥ずかしそうに目を伏せた。



Posted by だけを平らに削っ at 12:52│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

QRコード
QRCODE
庄内・村山・新庄・置賜の情報はコチラ!

山形情報ガイド・んだ!ブログ

アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 0人
プロフィール
だけを平らに削っ