2016年08月09日

ら決まっていたえる聞きしま


「侍医が心配か?」
「うん、なんだかチャン先生いつもと様子が違ってるわ。」
それだけを聞くと部屋の中に入ってきてチャン先生の座っていた椅子に座る
「貴方、夕方チャン先生の部屋に行ったんでしょ?何か言ったの?」
そう言うと鬼剣を自分の座っている椅子の王賜豪側に立て掛ける
「別に、…何も。」
絶対、嘘。
そう思ったけど、チャン先生もこの人もきっと教えてくれない。
そう言う所は良く似ていると思う。

「医仙、肩を揉んで貰っても?」
「肩?如何したの、珍しいわね。」
「慣れぬ事をすると疲れるんです。貴女は医仙のくせにそんな事も知らないのか?」
「その位知ってるけど、慣れぬって…何したの?」
そうやって聞いてるのにこの人は答えない代わりに肩を揉めと自分の肩をポンと軽く叩いて私の顔を見る

暫くこの人の肩を揉んだ。
本当に今日は肩が凝ってるみたい。
何時も身体を動かしている人なのに珍しいわ

「王様に…話しました。全部。」
全部、…昨日の夜の事もよね。
「そして貴女の気持ちも、俺の気持ちも全部話して…許しを請うて来ました。」
「許しを…請う?」
王様に何の許しを求めたの?

「昨日貴女と共寝をした事を話し、貴女の今後はどうすると聞かれたので貴女の気持ち通り
天にお返しする旨を話し、…それから…」

私の事なのに私に何にも聞いたり意見を求めたりしないで、王様に何の許しを求めたの?

「…これからも共寝するからと許しを王賜豪求めたの?何それ?私は物じゃないわ。貴方なら分かってくれてると思ったのに。やっぱり貴方も私を物としか思って無いんじゃないの…」
物凄く腹が立った。

貴方の事好きなのに、何となく嫌な感じがしてたのはこれよ

貴方は私の事も全部自分で決めて勝手に話を進めて…
私と貴方の事なのに、一緒に王様の処に行って話そうじゃなくて、何時も自分だけで考えて…

それに怒ってるんだ私。

「…違う。」
貴方は座ったままで振り向いて私を見る
きっと酷い顔してる。
だって、怒ってるんだもの、仕方が無いわ。

「何が違うの?貴方だけが何で痛い思いしたり、嫌な事言われたりしなくちゃいけないの?貴方と私の事でしょう?私だって意見もある。何で一緒に行こうって言わないの。」
するとこの人の右手の親指が私の頬を撫でる

「泣くな。」
私泣いてた。
もう、昨日から泣いてばっかり。
こんなに私泣かないのに、なんでこんなに悲しくて泣けてくるのよ…
「泣いて無い。」
見たら判る嘘だけど、言ってやった。

「貴女が今度一緒に行って話をする赦しを請うてきたんだ。ただ、その場に王妃様も同席された故に色々聞かれて…長引いただけだ。」



「俺の話は貴女と似たようなものだ。ただ、貴女と話したのち俺は王様に話さなきゃならん。」
「…は?王様と?話す?」
訳が分からない。
王様と一体何を話すのかしら…

「貴女には昨日言ってありませんでしたが、王様と王妃様は俺と貴女が夫婦になる事を秘かに願っておられます。お忘れですか?俺と王様二人だけで貴女の事を話したと言っただろう?」
あぁ、云ってた。
何を二人で話したんだか…って私そう思っていた。
そんな事、私が居ない所で話してたの?

「め、夫婦って…」
「貴女が天に戻らず俺とこの高麗で暮らす事を願って脫髮治療いらっしゃるらしいです。叔母上からそう聞いております。」
そうだったの…。
急に夫婦なんて言葉がこの人の口から出て来たものだからまた頬を赤らめてしまった。
こんなにこの人が言う言葉で反応して…恥ずかしい…

「しかし、先程貴女に天の国への帰るとおしたので、その旨王様、王妃様にお伝え致しますが、宜しいですね?」
「…駄目って言っても言うんでしょ?」
そんな事になってるなんて知らなかったから…言っちゃったし。

「まぁ、そうですね。それに最初か事は出来ぬ。」
そう言う貴方の融通のきかない所嫌いよ。
でも、信念を通す所は本当に好き。
 
本当はずっと隣で見てたいなって最近良く思う。
でも貴方は決めた事は通す人だから、きっと私を元の世界に戻しちゃうんだろうなって…
「話ってそれだけ?」
「はい、それだけです。他愛も無い話です」
そう言って貴方はまた燈火をじっと見てる
  


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2016年08月03日

向かう前は先に

典医寺の薬房に居た医員達が薬を作り終えたのか、先程までの慌ただしい気配はしなくなった。
恐らく出来上がった薬をチャン侍医に持って行く者は持って行き、残った者も夜の初めには居なくなるのだろうと思う。

「…俺は一旦兵舎に戻ります。ウダルチの奴推拿治療らも気になっているだろうと思いますので。」
そういいながら薬を塗るために上半身を晒していたので着物を着ながら言う。

今はまだ夕方にもなっていない上、俺の仕事もまだ残っている
昼のうちならばもともと武閣氏も警護していないのだから大丈夫だろう。
「うん、そうね。その方がいいわ。」
そして、少し顔を赤らめているこの女も立ち上がった。

「…その、…何時…来てくれるの?」
珍しく横を向いたまま床の方を向いて聞いてくる。
「夕餉が済んだ頃には来られるはずだが…今回の一件もある故恐らく王様にもお話せねばならん…夜には参ります。」

そう、これから一旦兵舎に戻って今日の典医寺の警護をトクマンとトルべから別の奴にしておかなければ要らん噂が飛び交うだけだ…
その後王様の警護がもともと入っている上にさっき叔母上が王様にも話すと言っていた、恐らく説明を求められるのだろう…

この説明が問題だ。
チャン侍医の言う事には王様も俺とこの女の事を知っていて確認するためにチャン侍医を寄越したと言う
さて、なんと言えば良いのか…

考えても始まらん、とっとと終わらせよう。

「では、俺はこれで。後で伺います。」
そう言って、部屋から出ようと入口近くまで来て振り返る髮線後移とこの女はそおっと右手を挙げて横に振る。
「いってらっしゃい。夜に来てくれるのを待ってるわ。」

そう言って手を振る様子を見ていると立ち眩みの様な感覚に襲われた
頭がくらくらする。
そう思ったら自分の身体が勝手に動いて折角入口まで来ていたのに、またこの女の前まで来て身体を攫う様に抱き締め、勢いよく口付ける

自分の身体は痛みつけられてからそう時間も経っていないのであちこち打たれた所がぎしぎしと痛む
でもそれ以上に今瞬間にこの女の蜜が吸いたくなった

実はこの女の蜜には薬でも入っているんじゃないのか?
常用性の高い”麻薬”と言う薬が有ると侍医も言っていた。
こんなに毎日蜜を吸い続けないと気が済まないなんて…本当に俺はどうにかしてしまったみたいだ。

こんな煩い、高飛車な女が”可愛い”と思える自分に一番驚く。
俺の好みはこんな女じゃない筈なのに。
物静かで、芯が強くて、…まるで逆の女なのにこの惹かれ方は異常だ。

目を薄く開けるとこの女は頬をうっすら桃色に染め、必死に俺の舌に応えようとしているのが見える。唇の端から己と俺の蜜が混ざり合いながら首筋の方に一筋流れていく。

もう駄目だ、俺はこの部屋から出て兵舎に行かねば、いい加減誰かが俺を呼びに来る。
長居しすぎた。
それなのにこの女も俺の着物の襟をぎゅうと握り離さない。
…俺も唇を離すのが惜しい、この女の腰から腕を離すのが…惜しい。

がくんとこの女の足から力が抜ける

その時この部屋の扉を叩く音がする。
そして、外から俺を探す声がする

「医仙、こちらにテジャンはお出でではありませんか?」
扉の向こうから大きな声でチュンソクが言った
その声を聴いてこの女の目が開かれ、襟を掴んでいたその手で俺の胸を軽く叩く

分かってる、口付けをやめてチュンソクに返事をしろと言うんだろ?
「医仙?入ってもよろしいですか?」
そう言ってチュンソクが中に入ってきそうになるその時、やっと唇を離す
この女は腰が砕けちまったらしく力なく俺に抱かれている
そのままの体勢でチュンソクに声をかける

「プジャン、今医仙に診察してい第一醫美ただいておる、これが終わり次第すぐ兵舎に行って隊員を集めておいてくれ。」
「テジャン!やはりここでいらっしゃいましたか!分かりましたそのように致します。すぐおいでいただけるのですか?」
「あぁ、もう診察は終わった、薬を塗っていただいたらすぐ向かう!」
「イェ!では、すぐに!」
そう、チュンソクは言い残し典医寺の医仙の部屋の前から立ち去った。
その音を聞いて俺の腕の中この女は大きなため息を吐いた
  


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2016年07月08日

造に難儀しなか



物凄い数である。今では、第一級の「観光地」となっているけれど、奇観=その難所での建設、巡礼地=巡礼者へとって大変に過酷な場所???、こういったバックグランドを考えると、その風景も心奥へ迫ってくる。私はエレベーターを使わずに徒歩で訪ねてきた。重い感慨母乳餵哺が込み上げて来た。

ドルドーニュ地方、ロット地方、旧石器時代から我々の先祖が暮らして来た土地である。二百万年前だ。私の推測では、温暖な気候、川の幸、山の幸、それから無数の洞窟。こういった諸々が当時の暮らしには適していたのだろう。ロカマドゥールの巨石、洞窟も旧石器時代の人々の暮らしの後が残っている。

この地方へ出掛ける度に、私は遠い母国の風景を思い出す。水田と茶畑とみかんの木があれば、なんか、そのまま、日本の風景。私の本籍地の風景と重なる。なぜか、とても懐かしいのである。

ロカマドゥールの百五十メートルの岩山の中腹にサン?ソヴール教会。この中に「奇跡の聖母」と呼ばれる黒い聖母像が祭られている。いくつかの旅行ブログを拝読させて頂いたのだけれども、複数の方々が「広隆寺の弥勒菩薩を思い出した」と書かれている。私もまったく同感almo nature 好唔好なのである。信仰、巡礼、ロカマドゥールへのそれは大変な苦行であったはずである。

巨大な岩山をゆっくりと登りながら、私は私の内奥の巡礼地、ジャズ、ピアノのことも同時に
思っていた。エンドレスの苦行なのかな、とも、ほんの少しだけ考えた。

モンサンミッシェルは海上のピラミッドと呼ばれる。ロカマドゥールは秘境のピラミッドであろう。
今回、私が一週間過ごしたロット県、ドルドォーニュ県は、クロマニョン人の人類化石が発掘されから、四万年前ぐらいの「現代人の祖先」とされている。

もちろん、私は専門家ではないから、なんとなく、彼らの生活を幻想してみる。

たぶん、野生動物、山の幸、川の幸、住まいである洞窟。衣食住の基本があったのであろう。衣の方は、この辺りは、岩山が豊富にあるから、石槍、石のナイフのalmo nature 好唔好製ったと思う。最終、獣の皮という素材があったはすだ。

私たちの感覚。彼らは、今から四百世紀前に生きていたわけだ。

うーーーん、私たちは大変に進化したのは間違いない。そして、とてつもなく退化したんだろう。
  


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2016年06月28日

ングの地図を凝視




今を時めく現代美術家、裕伊茶夫の最新作。「移動美術館」が話題になっているらしい。マルセル?デュシャンは美術館にオブジェを持ち込み物議を醸した。裕は任意に選択された場所に巨大な白い箱、彼が「移動美術館」と呼ぶ箱を設置というのか被せてしまうのである。当然にして、美術館の潔膚乳内部には、そこに元々あったものが展示されている状態になる。任意に選ばれた場所であるから、場末の屋台のラーメン屋が美術館の中で営業しているという、やや、倒錯した事態も起こる。サラリーマンが美術館の中の屋台で上司の愚痴を零し、泥酔しているということもあるのだ。
「チョンボ1」会社の車をぶつける。ゆっくりとバックする。後方探知機が鳴らない。なんとなく、ワーゲンカラベルのバックドアーがなにかにあたる。バンパーの後方探知機が感知しない上方に鉄の手摺。社長にお詫び、始末書メール。電話。「わっはははぁー、裕さん、真面目な人だねぇー、止まっている時にぶつけれらたとか嘘付くやつばっかりなんだよ、この業界。おまけに、自分で直しますとくるもんなぁー、その人間性がいいねぇー」と褒められた。

「チョンボ2」突然の寒波。疲れて帰宅。カミサンも娘も仕事で不在。セントラルヒーティングのスイッチを入れる。あっ、水道開けるの忘れたと思い、蛇口を捻る。さっ、風呂でも???。電気配線の漏電防止のため、電気メーターが突然オフ。あれ? 半地下室に下りる。水浸し。疲労困reenex 效果憊しながら、水掻き一時間。カミサンへドチョンボをしたと話。「あっ、あなた、セントラルヒーティングでしょ? えっ、蛇口を十分間開けっ放し? 風呂に入ろうとした? チョンボをしない理科系のあなたが? 相当、疲れてんじゃないの?」「はい、ごめんなさい」。蛇口は水圧の調整用だから、調整が終わったら閉めるのである。

「チョンボ3」ドゥゴール空港敷地内の新しい巨大ショッピングセンター。一度、中華レストランへ行った。お客様到着前にゆっくりと食事の予定。車を止める。エレベーターで上がる。前回きた時、直ぐ右にあった中華レストランがない。入り口が違うらしい。センター内を探す。あまりに巨大。見付からない。フライト到着時間が少しずつ迫ってくる。諦める。エレベーターで下りる。入ったところと違うらしい。車が見当たらない。記憶を探る。B055だった。ない、その番号。車を探す。見当たらない。フライト到着時間が少しずつ迫ってくる。プロドライバーが自分の車をどこに止めたか分からない=解雇である。これからナイトラン。200?先の町へ。冷や汗。一度セ香港BBAンター内に戻り、彷徨った経路を逆に歩く。フライト到着時間???。ない。車が見付からない。パーキする。パーキングが1から5まである。すべて、巨大。どのパーキングか記憶にない。もう一度理科系脳で分析する。Bがあるのは幸いにして1と5。入り口近くだったから、1であろう。あった。フライト到着時間の十分前にターミナルへ。マックでマックチキンを大慌てで食べる。深夜十二時。ナイトランは終わる。ホテルのカウン  


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2016年05月30日

尻を叩きな



カーテンを閉めた暗い部屋の中で僕とレイコさんは本当にあたり前のことのように抱きあい、お互いの体を求めあった。僕は彼女のシャツを脱がせ、下着をとった。

「ねえ、私けっこう不思議な人生送ってきたけど、十九歳年下の延缓衰老男の子にパンツ脱がされることになると思いもしなかったわね」とレイコさんは言った。

「じゃあ自分で脱ぎますか」と僕は言った。

「いいわよ、脱がせて」と彼女は言った。「でも私しわだらけだからがっかりしないでよ」

「僕、レイコさんのしわ好きですよ」

「泣けるわね」とレイコさんは小さな声で言った。

僕は彼女のいろんな部分に唇をつけ、しわがあるとそこを舌でなぞった。そして少女のような薄い**に手をあて、乳首をやわらかく噛み、あたたかく湿ったヴァギナに指をあててゆっくりと動かした。

「ねえ、ワタナベ君」とレイコさんが僕の耳も肌膚老化とで言った。「そこ違うわよ。それただのしわよ」

「こういうときにも冗談しか言えないんですか」と僕はあきれて言った。

「ごめんなさい」とレイコさんは言った。「怖いのよ、私。もうずっとこれやってないから。なんだか十七の女の子が男の子の下宿に遊びに行ったら裸にされちゃったみたいな気分よ」

「ほんとうに十七の女の子を犯してるみたいな気分ですよ」

僕はそのしわの中に指を入れ、首筋から耳にかけて口づけし、乳首をつまんだ。そして彼女の息づかいが激しくなって喉が小さく震えはじめると僕はそのほっそりとした脚を広げてゆっくりと中に入った。

「ねえ、大丈夫よね、妊娠しないようにしてくれるわよね」とレイコさんは小さな声で僕に訊いた。「この年で妊娠すると恥かしいから」

「大丈夫ですよ。安心して」と僕は言った。

ペニスを奥まで入れると、彼女は体を震わせてため息をついた。僕は彼女の背中をやさしくさするように撫でながらペニスを何度か動かして、そして何の予兆もなく突然射精した。それは押しとどめようのない激しい射精だった。僕は彼女にしがみついたまま、そのあたたかみの中に何度も精液を注いだ。

「すみません。我慢できなかったんです」と僕は言った。

「馬鹿ねえ、そんなこと考えなくてもいいの」とレイコさんは僕のおがら言った。「いつもそんなこと考えながら女の子とやってるの」

「まあ、そうですね」

「私とやるときはそんなこと考えなくていいのよ。忘れなさい。好きなときに好きなだけ出しなさいね。どう、気持良かった」

「すごく。だから我慢できなかったんです」

「我慢なんかすることないのよ。それ日常肌膚護理でいいのよ、。私もすごく良かったわよ」

「ねえ、レイコさん」と僕は言った。

「なあに」

「あなたは誰かとまた恋をするべきですよ。こんなに素晴らしいのにもったいないという気がしますね」

「そうねえ、考えておくわ、それ」とレイコさんは言った。「でも人は旭川で恋なんてするものなのかしら」
  


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2016年05月16日

と閉める



「よくわかるわ」とハツミさん言って、冷蔵庫から新しいビールを出してくれた。

「それにあの人、外務省に入って一年の国内研修が終ったら当分国外に行っちゃうわけでしょうハツミさんはどうするんですかずっと待ってるんですかあの人、誰とも淚溝價錢結婚する気なんかありませんよ」

「それもわかってるのよ」

「じゃあ僕が言うべきことは何もありませんよ、これ以上」

「うん」とハツミさんは言った。

僕はグラスにゆっくりとビールを注いで飲んだ。

「さっきハツミさんとビリヤードやっててふと思ったんです」と僕は言った。「つまりね、僕には兄弟がいなくってずっと一人で育ってきたけれど、それで淋しいとか兄弟が欲しいと思ったことはなかったんです。一人でいいやと思ってたんです。でもハツミさんとさっきビリヤードやってて、僕にもあなたみたいなお姉さんがいたらよかったなと突然思ったんです。スマートでシックで、ミッドナイトブルーのワンピースと金のイヤリングがよく似合って、ビリヤードが上手なお姉さんがね」

ハツミさんは嬉しそうに笑って僕の顔を見た。「少なくともこの一年くらいのあいだに耳にしたいろんな科白の中では今のあなたのが最高に嬉しかったわ。本当よ」

「だから僕としてもハツミさんに幸せになってもらいたいんです」と僕はちょっと赤くなって言った。「でも不思議ですね。あなたみたいな人なら誰とだって幸せになれそ激光脫毛中心うに見えるのに、どうしてまたよりによって永沢さんみたいな人とくっついちゃうんだろう」

「そういうのってたぶんどうしようもないことなのよ。自分ではどうしようもないことなのよ。永沢君に言わせれば、そんなこと君の責任だ。俺は知らんってことになるでしょうけれどね」

「そういうでしょうね」と僕は同意した。

「でもね、ワタナベ君、私はそんなに頭の良い女じゃないのよ。私はどっちかっていうと馬鹿で古風な女なの。システムとか責任とか、そんなことどうだっていいの。結婚して、好きな人に毎晩抱かれて、子供を産めばそれでいいのよ。それだけなの。私が求めているのはそれだけなのよ」

「彼が求めているのはそれとは全然別のものですよ」

「でも人は変るわ。そうでしょう」とハツミさんは言った。

「社会に出て世間の荒波に打たれ、挫折し、大人になりということ」

「そう。それに長く私と離れることによって、私に対する感情も変ってくるかもしれないでしょう」

「それは普通の人間の話です」と僕は言った。「普通の人間だったらそういうのもあるでしょうね。でもあの人は別です。あの人は我々の想像を越えて意志の強い人だし、その上毎日毎日それを補強してるんです。そして何かに打たれればもっと強くなろうとする人なんです。他人にうしろを見せるくらいならナメクジだって食べちゃうような人です。そんな人間にあなたはいったい何を期待するんですか」

「でもね、ワタナベ君。今の私には待つしかないのよ」とハツミさんはテーブルに頬杖をついて言った。

「そんなに永沢さんのこと好きなんですか」

「好きよ」と彼女は即座に答えた。

「やれやれ」と僕は言ってため息をつき、ビールの残りを飲み干した。「それくらい確信を持って誰かを愛するというのはきっと素晴らしいことなんでしょうね」

「私はただ馬鹿で古風なのよ」とハツミさんは言った。「ビールもっと飲む」

「いや、もう結構です。そろそろ帰ります。包帯とビールをどうもありがとう」

僕が立ち上がって戸口で靴をはいていると、電話のベル網路購物が鳴りはじめた。ハツミさんは僕を見て電話を見て、それからまた僕を見た。「おやすみなさい」と言って僕はドアを開けて外に出た。ドアをそっときにハツミさんが受話器をとっている姿がちらりと見えた。それが僕の見た彼女の最後の姿だった。
  


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2016年04月29日

からも永


僕はそれが何であるかに思いあたったのは十二年か十三年あとのことだった。僕はある画家をインタヴェーするためにニューメキシコ州サンタフェの町に来ていて、夕方近所のピツァハウスに入ってビールを飲みピツァをかじりながら奇蹟のように美しい夕陽を眺めていた。世界中のすべてが赤く染まっていた。僕の手から皿からテーブルから、目につくもの何から何までが赤く染まっていた。まるで特殊な果dermes 脫毛汁を頭から浴びたような鮮やかな赤だった。そんな圧倒的な夕暮の中で、僕は急にハツミさんのことを思いだした。そしてそのとき彼女がもたらした心の震えがいったい何であったかを理解した。それは充た されることのなかった、そしてこれ遠に充たされることのないであろう少年期の憧憬のようなものであったのだ。僕はそのような焼けつかんばかりの無垢な憧れをずっと昔、どこかに置き忘れてきてしまって、そんなものがかつて自分の中に存在したことすら長いあいだ思いださずにいたのだ。ハツミさんが揺り動かしたのは僕の中に長いあいだ眠っていた<僕自身の一部>であったのだ。そしてそれに気づいたとき、僕は殆んど泣きだしてしまいそうな哀しみを覚えた。彼女は本当に本当に特別な女性だったのだ。誰かがなんとしてもでも彼女を救うべきだったのだ。

でも永沢さんにも僕にも彼女を救うことはできなかった。ハツミさんは――多くの僕の知りあいがそうしたように――人生のある段階が来ると、ふと思いついたみたいに自らの生命を絶った。彼女は永沢さんがドイツに行ってしまった二年後に他の男と結婚し、その二年後に剃刀で手首を切った。

彼女の死を僕に知らせてくれたのはもちろん永沢さんだった。彼はボンから僕に手紙を書いてきた。「ハツミの死によって何かが消えてしまったし、それはたまらなく哀臉部肌膚檢測しく辛いことだ。この僕にとってさえも」僕はその手紙を破り捨て、もう二度と彼には手紙を書かなかった。



我々は小さなバーに入って、何杯かずつ酒を飲んだ。僕もハツミさんも殆んど口をきかなかった。僕と彼女はまるで倦怠期の夫婦みたいに向いあわせに座って黙って酒を飲み、ピーナッツをかじった。そのうちに店が混みあってきたので、我々は外を少し散歩することにした。ハツミさんは自分が勘定を払うと言ったが、僕は自分が誘ったのだからと言って払った。

外に出ると夜の空気はずいぶん冷ややかになっていた。ハツミさんは淡いグレーのカーディガンを羽織った。そしてあいかわらず黙って僕の横を歩いていた。どこに行くというあてもなかったけれど、僕はズボンのポケットに両手をつっこんでゆっくりと夜の街を歩いた。まるで直子と歩いていたときみたいだな、と僕はふと思った。

「ワタナベ君。どこかこのへんでビリヤードできるところ知らない」ハツミさんが突然そう言った。

「ビリヤード」と僕はびっくりして言った。「ハツミさんがビリヤードやるんですか」

「ええ、私けっこう上手いのよ。あなたどう」

「四ツ玉ならやることはやりますよ。あまり上手くはないけれど」

「じゃ、行きましょう」

我々は近くでビリヤード屋をみつけて中に入った。路地のつきあたりにある小さな店だった。シックなワンピースを着たハツミさんとネイビーブルーのブレザーコートにレジメ韓國 泡菜ンタルタイという格好の僕の組みあわせはビリヤード屋の中ではひどく目立ったが、ハツミさんはそんなことはあまり気にせずにキューを選び、チョークでその先をキュッキュッとこすった。そしてバッグから髪どめを出して額のわきでとめ、玉を撞くときの邪魔にならないようにした。  


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2016年04月20日

が帰ったあと



本を読んだり、レコードを聴いたりするのに飽きると、僕は少しずつ庭の手入れをした。家主のところで庭ぽうきと熊手とちりとりと植木ばさみを借り、雑草を抜き、ぼうぼうにのびた植込みを適当に刈り揃えた。少し手を入れだだけで庭はけっこうきれいになった。そんなことをしていると家主が僕を呼んで、お茶でも飲みませんか、と言った。僕は母屋の縁側に座って彼と二人でお茶を飲み、煎餅を食べ、世間話鑽石能量水 騙局をした。彼は退職してからしばらく保険会社の役員をしていたのだが、二年前にそれもやめてのんびりと暮らしているのだ
庭をいじらないで放ったらかしておいたのはこのへんの植木屋にろくなのがいないからで、本当は自分が少しずつやればいいのだが最近鼻のアレルギーが強くなって草をいじることができないのだということだった。そうですか、と僕は言った。お茶を飲み終ると彼は僕に納屋を見せて、お礼というほどのこともできないが、この中にあるのは全部不用品みたいなものだから使いたいものがあったらなんでも使いなさいと言ってくれた。納屋の中には実にいろんなものがつまっていた。風呂桶から子供用プールから野球のバッドまであった。僕は古い自転車とそれほど大きくない食卓と椅子を二脚と鏡とギターをみつけて、もしよかったらこれだけお借りしたいと言った。好きなだけ使っていいよと彼は言った。

僕は一日がかりで自転車の錆をおとし、油をさし、タイヤに空気を入れ、ギヤを調整し、自転車屋でクラッチワイヤを新しいものにとりかえてもらった。それで自転車は見ちがえるくらい綺麗になった。食卓はすっかりほこりを落としてからニスを塗りなおした。ギターの弦も全部新しいものに替え、板のはがれそうになっていたところは接着剤でとめた。錆もワイヤブラシできれいに落とし、ねじも調節した。たいしたギターではなかったけれど、一応正確な音は出るようになった。考えて見ればギターを手にしたのなんて高小三數學補習校以来だった。僕は縁側に座って、昔練習したドリフターズのアップオンザルーフを思い出しながらゆっくりと弾いてみた。不思議にまだちゃんと大体のコードを覚えていた。

それから僕は余った材木で郵便受けを作り、赤いペンキを塗り名前を書いて戸の前に立てておいた。しかし四月三日までそこに入っていた郵便物といえば転送されてきた高校のクラス会の通知だけだったし、僕はたとえ何があろうとそんなものにだけは出たくなかった。何故ならそれは僕とキズキのいたクラスだったからだ。僕はそれをすぐに屑かごに放り込んだ。

四月四日の午後に一通の手紙が郵便受けに入っていたが、それはレイコさんからのものだった。封筒の裏に石田玲子という名前が書いてあった。僕ははさみできれいに封を切り、縁側に座ってそれを読んだ。最初からあまり良い内容のものではないだろうという予感はあったが、読んでみると果たしてそのとおりだった。

はじめにレイコさんは手紙の返事が大変遅くなったことを謝っていた。直子はあなたに返事を書こうとずっと悪戦苦闘していたのだが、どうしても書きあげることができなかった。私は何度もかわりに書いてあげよう、返事が遅くなるのはいけないからと言ったのだが、直子はこれはとても個人的なことだしどうしても自分が書くのだと言いつづけていて、それでこんなに遅くなってしまったのだ。いろいろ迷惑をかけたかもしれないが許してほしい、と彼女は書いていた。

「あなたもこの一ヶ月手紙の返事を待ちつづけて苦しかったかもしれませんが、直子にとってもこの一ヶ月はずいぶん苦しい一ヶ月だったのです。それはわかってあげて下さい。正直に言って今の彼女の状況はあまり好ましいものではありません。彼女はなんとか自分の力で立ち直ろ鑽石能量水 騙局うとしたのですが、今のところまだ良い結果は出ていません。

考えて見れば最初の徴候はうまく手紙が書けなくなってきたことでした。十一月のおわりか、十二月の始めころからです。それから幻聴が少しずつ始まりました。彼女が手紙を書こうとすると、いろんな人が話しかけてきて手紙を書くのを邪魔するのです。彼女が言葉を選ぼうとすると邪魔をするわけです。しかしあなたの二回目の訪問までは、こういう症状も比較的軽度のものだったし、私も正直言ってそれほど深刻には考えていませんでした。私たちにはある程度そういう症状の周期のようなものがあるのです。でもあなたで、その症状はかなり深刻なものになってしまいました。彼女は今、日常会話するのにもかなりの困難を覚えています。言葉が選べないのです。それで直子は今ひどく混乱しています。混乱して、怯えています。幻聴もだんだんひどくなっています。

私たちは毎日専門医をまじえてセッションをしています。直子と私と医師の三人でいろんな話をしながら、彼女の中の損われた部分を正確に探りあてようとしているわけです。私はできることならあなたを加えたセッションを行いたいと提案し、医者もそれには賛成したのですが、直子が反対しました。彼女の表現をそのまま伝えると会うときは綺麗な体で彼に会いたいからというのがその理由です。問題はそんなことではなく一刻も早く回復することなのだと私はずいぶん説得したのですが、彼女の考えは変りませんでした。
  


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2016年04月13日

まってどこかに監




「どうして」と言って緑は虚無をのぞきこむような目で僕を見た。「どうしてって、どういうことよ、それ」

「つまり、どうして僕のことを思いだすかってことだよ」

「あなたのこと好きだからに決まっているでしょうが。他にどんな理由があるっていうのよいったいどこの誰が好きでもない相手と一緒いたいと思うのよ」

「だって君には恋人がいるし、僕のこと柬埔寨自由行考える必要なんてないじゃないか」と僕はウィスキーソーダをゆっくり飲みながら言った。

「恋人がいたらあなたのことを考えちゃいけないわけ」

「いや、べつにそういう意味じゃなくて――」

「あのね、ワタナベ君」と緑は言って人さし指を僕の方に向けた。「警告しておくけど、今私の中にはね、一ヶ月ぶんくらいの何やかやが絡みあって貯ってもやもやしてるのよ。すごおく。だからそれ以上ひどいことを言わないで。でないと私ここでおいおい泣きだしちゃうし、一度泣きだすと一晩泣いちゃうわよ。それでもいいの私はね、あたりかまわず獣のように泣くわよ。本当よ」

僕は肯いて、それ以上何も言わなかった。ウィスキーソーダの二杯目を注文し、ピスタチオを食べた。シェーカが振られたり、グラスが触れ合ったり、製氷機の氷をすくうゴソゴソという音がしたりするうしろでサラヴォーンが古いラブソングを唄っていた。

「だいたいタンポン事件以来、私と彼の仲はいささか険悪だったの」と緑は言った。

「タンポン事件」

「うん、一ヶ月くらい前、私と彼と彼の友卓悅Biodermaだちの五、六人くらいでお酒飲んでてね、私、うちの近所のおばさんがくしゃみしたとたんにスポッとタンポンが抜けた話をしたの。おかしいでしょう」

「おかしい」と僕は笑って同意した。

「みんなにも受けたのよ、すごく。でも彼は怒っちゃったの。そんな下品な話をするなって。それで何かこうしらけちゃって」

「ふむ」と僕は言った。

「良い人なんだけど、そういうところ偏狭なの」と緑は言った。「たとえば私が白以外の下着をつけると怒ったりね。偏狭だと思わない、そういうの」

「うーん、でもそういうのは好みの問題だから」と僕は言った。僕としてはそういう人物が緑を好きになったこと自体が驚きだったが、それは口に出さないことにした。

「あなたの方は何してたの」

「何もないよ。ずっと同じだよ」それから僕は約束どおり緑のことを考えてマスターペーションしてみたことを思いだした。僕はまわりに聞こえないように小声で緑にそのことを話した。

緑は顔を輝かせて指をぱちんと鳴らした。「どうだった上手く行った」

「途中でなんだか恥ずかしくなってやめちゃったよ」

「立たなくなっちゃったの」

「まあね」

「駄目ねえ」と緑は横目で僕を見ながら言った。「恥ずかしがったりしちゃ駄目よ。すごくいやらしいこと考えていいから。ね、私がいいって言うからいいんじゃない。そうだ、今度電話で言ってあげるわよ。ああそこいいすごく感じる駄目、私、いっちゃうああ、そんなことしちゃいやっとかそういうの。それを聞きながらあなたがやるの」

「寮の電話は玄関わきのロビーにあってね、みんなそこの前を通って出入りするだよ」と僕は説明した。「そんなところでマスターペーションしてたら寮長に叩き殺されるね、まず間違いなく」具合に我々が映画館に入ったときにそのsのが始まった。olのお姉さんと高校生の妹が何人かの男卓悅Biodermaたちにつか禁され、サディスティックにいたぶられる話だった。男たちは妹をレイプするぞと脅してお姉さんに散々ひどいことをさせるのだが、そうこうするうちにお姉さんは完全なマゾになり、妹の方はそういうのを目の前で逐一見せられているうちに頭がおかしくなってしまうという筋だった。雰囲気がやたら屈折して暗い上に同じようなことばかりやっているので、僕は途中でいささか退屈してしまった。
  


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2016年04月01日

を付けてるのか


 
 「三四郎、もう出掛けぬから馬を厩舎に繋いでくれ」
   「はい、先生」
 三太郎は女を診療部屋に運んだ。すぐさま女を診ていた三太郎の顔が一瞬曇った。
   「いかん、高熱の所為で心の臓が可成り弱っている、解熱剤は先ほど飲ませたので、少しずつ湯冷ましをのませてやってくれ」
   「はい、先生」
 弟子の佐助が用意する為に立った。三太郎の実母迪士尼美語價格お民は、井戸水を汲み、手桶に満たして持ってきた、手拭いを濡らして、女の額を冷やす為だ。

 その日、夕日が沈む頃になって、女の表情から苦痛が和らいだように思えた。
   「まだ安心は出来ない、今夜がヤマだろう、安静にしてやってくれ」
 夜が更けて、弟子たちは寝かせたが、三太郎は寝ずの看病をした。夜が明ける頃になると、女は安らかな寝息を立てていた。

   「先生、女の人が目を覚ましました」
   「そうか、では少し重湯を飲ませてみよう」
   「はい、すぐに支度します」
 佐助も三四郎も、よく働いてくれる。早くも診療が出来るようになっており、三太郎の留守の折は、二人で相談しながら薬も出している。三太郎にとっては、頼もしい弟子たちである。
 
   「ここは?」
 女が口を開いた。
   「私の診療所だ、言っておくが、お金は頂戴しないので安心して静養しなさい」
   「ありがとうございます」
   「私はここの医者で、緒方三太郎と申す、あなたのお名前は?」
   「はい、雪と申します」
   「お雪さんですか、お雪さんはどちらへ行かれる途中で倒れたのかな?」
   「嫁ぎ先で離縁されて、実家へ戻る馬爾代夫旅行團ところでした」
   「よろしかったら、離縁された訳を聞かせてくれぬか?」
   「嫁に貰われて、三年経ったのに子供が出来なかったことと、私が病気がちで婚家の働き手として役に立たなかったからです」
   「子供が出来ないのは、お雪さんの所為ばかりとは言えない、病気がちなのは、随分無理をさせられた所為のように思うが…」
   「ありがとうございます、こんなに優しく言って頂いたのは初めてです」
   「わかりますよ、病気になっても、休ませて貰え無かったのだろう」
   「それが嫁の務めの常なのです」
   「酷いことだ」
 今まで我慢をしていたのであろう、三太郎の労りの言葉に、思わずお雪は涙したようであった。
   「実家に帰っても、私の居場所はありません、世間体を気にする親兄弟ですから、すぐに追い出されることでしょう」
   「それで行く宛は?」
   「ありません、どこかの宿場で、飯炊き女にでも雇って貰います」
   「そうか、それではどうだろう、お元気になったら、ここで働かぬか?」
   「えっ、本当ですか?」
   「今は養生所とは名ばかりで、多くの患者さんをお預かりすることが出来ない、せめて十人以上の患者さんに養生していただけるようにしたいのだが、人出が足りないのだ」
   「ありがとうございます、それで私に何が出来ましょう?」
   「私の母と共に、患者さんや私どもの食事の世話です」
   「私に出来ましょうか?」
   「患者さんが増えれば、賄い役があと三人はほしいところだ」
   「ぜひ、働かせてください、お願い致します」
   「わかった、では養生して元気になってくだされ」
   「はい、頑張ります」
   「いや、頑張らなくてもいいのだ、決して無理をしてはいけない」
 元気になったら実家に戻り、離縁された訳を話して、これから独り身で生きて行くことを伝えてくると、お雪は明るい表情を見せた。
   神田の菊菱屋へ使いに行った帰り道、三太の後を追うように付いて来る男が居た。三太は何気なく振り返ってちらっと見たが、そのまま気付かぬふりをして歩いていた。自分試そ眼睛疲勞うと三太が走ってみると、男も走って付いてくる。
   「新さん、あの男、わいに用が有るのやろか?」
 守護霊の新三郎に問いかけてみた。
   『悪い男には見えないが、執拗だね』
   「気持ちが悪い」
   『まあ、気付かないふりをしていましょうぜ』
  


Posted by だけを平らに削っ at 12:53Comments(0)
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